世界エビの種類
世界中には3,000種類ものエビがいると言われています。
日本国内で漁獲されるにはその中の20種類ほど、日常的に食べている消費量の約95%は海外からの輸入に頼っています。
その中でも食卓によく登場する代表的なエビ3種類を紹介します。
No1.車エビ

車エビは、別名「海老の王様」とも呼ばれ、食感はぷりぷり、旨味と甘味が非常に強いのが特徴です。伊勢海老とならぶ高級エビとして有名です。
今は養殖が盛んになり通年手に入りますが、旬はお盆ごろとされています。
名前の由来は、体の縞模様が丸まったときに車輪のように見えることから「車海老」と呼ばれるようになったという説が有力です。
車エビはサイズによって呼び名が変わります。
- サイマキ(細巻)
- コマキ(小巻)
- マキ(巻)
- チュウマキ(中巻)
- クルマエビ(車海老)
成長過程で細かく呼び分けられ、高級な日本料理店や天ぷら専門店で使われていることが多いのも、この車エビです。
ちなみにメスはオスよりも大きく成長します。
車エビの漁獲量
天然の車エビの漁獲量は、2019年の漁獲量は全国で約320tまで減少しています。一方で、養殖の車エビは沖縄県や鹿児島県で盛んで需要は年々高まっている、生産量自体は2019年には全国で約1458tでおおむね横ばいで推移。
2019年:天然車エビ生産量
- 愛知県:83t
- 愛媛県:72t
- 大分県 : 35t
2019年:養殖エビ生産量
- 沖縄県:485t
- 鹿児島県:308t
- 熊本県:259t
No2.ブラックタイガー

ブラックタイガーの正式名称は「ウシエビ」(牛海老)
クルマエビ科に属し、インド太平洋の熱帯域に分布する大型のエビで、大きいものでは全長30cmになることもサイズのわりに安価なため、世界中で広く食されているエビです。
加熱すると鮮やかな赤色になり、プリッとした食感を楽しめるエビです。多くの飲食店で使われており、特にカジュアルなお店では、エビフライや天ぷら、エビチリなどのメニューによく使われています。
▶ ブラックタイガーのおすすめ
No3.バナメイエビ

バナメイエビはクルマエビ科に属し、養殖にとても適したことから、近年市場ニーズが急速に伸びているエビです。ホワイト系のエビで、身はやわらかく、甘みのあると評判です。
成長が早いのも特徴で、ブラックタイガーが成体になるまでに約半年かかるのに対し、バナメイエビは3〜4カ月ほどで育ちます。狭い面積でもたくさん養殖でき、1㎡あたりブラックタイガーが20〜30尾なのに対し、バナメイエビは約200尾まで飼育可能です。
さらに病気に強く、淡水に近い環境でも育ちやすいため、生産コストを抑えやすいというメリットもあります。その結果、価格も手頃で安定供給しやすく、今では世界中で主流になりつつあるエビです。
バナメイエビのおすすめ
本当にヘルシー?
エビの身は、90%以上が水分とタンパク質でできています。タンパク質量は100gあたり約20gと「鶏むね肉」とほぼ同じ。
また、エビは「鶏むね肉」と比べて糖質や脂質が少ないため、カロリーで見ると鶏むね肉よりもやや低く、ヘルシー志向の方にも向いています。
ただし、栄養の得意分野は少し違います。
鶏むね肉はビタミンB群が豊富で、エネルギー代謝をサポートしてくれる食材です。
一方、エビは亜鉛・カルシウム・マグネシウムなどのミネラルを多く含み、体の調子を整える役割が期待できます。
このように、どちらも高たんぱくですが、含まれる栄養素の特徴が少しずつ異なるのがポイントです。
ムキエビは身体に悪いの?

保水処理とは、エビの身の中に水分をとどめて、加熱しても縮みにくく、プリッとした食感をキープするための下ごしらえのことです。塩や砂糖、少量の加工用調味液、または海洋深層水に浸けて水分を保ちやすくするもので、主にむきエビに行われます。
海洋深層水
(水深およそ200m以深からくみ上げた海水)は、表面の海水に比べて雑菌や汚れの影響を受けにくく、マグネシウム・カルシウム・カリウムなどのミネラルが多いのが特徴です。この性質をいかして、「できるだけ添加物は少ないほうがいい」という人向けに、海洋深層水だけでプリッとした食感を出す商品も増えてきました。
保水処理
「=添加物がたくさん入っていそうでちょっと心配」と感じる人もいます。実際に使われている成分は、ハムやソーセージ、チーズ、インスタント食品、清涼飲料など、身近な加工食品にも広く使われているもので、日本では使用量にもきちんとルールがあります。問題になりやすいのは、特定の食品だけではなく、こうした加工食品全体を長く食べ続けることで、結果的に“取りすぎ”になってしまうケースです。
エビの保水処理は、「天然もの vs 養殖もの」の話にも少し似ています。海洋深層水仕込みは“より自然に近い方法”、添加物による保水は“安定した品質とコスパを重視した方法”というイメージです。どちらが正しいかを決めつけるより、「自分は何を優先したいか」で選ぶ、くらいのスタンスで読むとちょうどいいと思います。
エビは身体にいいの?
エビの身は高タンパク・低カロリーな食材です。さらに、エビを殻ごと食べることで、カルシウムやキチンなどの栄養素を効率よく摂取できます。
エビに含まれる「動物性食物繊維(キチンなど)」とタンパク質を同時に摂ることで、健康的で太りにくい体づくりにも役立ちます。
甘エビとボタンエビの違いに興味のある方は、こちらの記事もおすすめです。
殻ごと食べるのがおすすめな理由
殻ごと食べると、ふだんの食事ではなかなか摂りにくい、次のような栄養素をまとめて摂ることができます。
- キチン
- カルシウム
- アスタキサンチン
キチンとは?
エビの殻に含まれるキチンは糖質の一種で、「キチン質」として知られています。
① 消化器官をサポート
キチン質は人間の体内ではほとんど吸収されず、食物繊維のような働きをすると言われています。消化管を通過するあいだに水分を吸収し、腸内環境を整える助けになるため、便通の乱れ(便秘・下痢など)の改善にも役立つと考えられています。

② 抗菌作用・抗炎症作用が期待されている
キチンを含むサプリメントや化粧品は、肌トラブルやニキビケアをサポートする目的で使われることがあります。また、口内環境を整える目的で使われることもあり、抗菌作用・抗炎症作用が期待されている成分です。
③ コレステロールの吸収を抑える働き
キチンは腸内で脂肪酸と結合して体外に排出されると言われており、脂肪の吸収をゆるやかにすることで、コレステロール値のコントロールにもプラスに働くと考えられています。
このように、エビの殻に含まれるキチンには、次のような健康メリットがあるとされています。
- 腸内環境のサポート
- 抗菌・抗炎症作用の期待
- コレステロール吸収の抑制
海老を天ぷらにして食べ比べてみた
今回紹介した3種類のエビを、実際に天ぷらにして食べ比べてみました。
見た目はどれもほとんど同じですが、価格は次の順に高くなります。
車エビ → ブラックタイガー → バナメイエビ
天ぷらのエビで大事なのは、次の2つです。
- ぷりぷりとした食感
- しっかりしたエビの旨味
個人的な感想にはなりますが、食感と旨味のバランスで順位をつけると、ちょうど価格順と同じ結果になりました。
- 海老が主役の天ぷらやエビフライなど → 大きさと存在感のあるブラックタイガー向き
- すり身、殻ごと揚げる料理、普段使いの炒め物など → 殻がやわらかく価格も手頃なバナメイエビが便利
こんな使い分けすると、それぞれの良さを活かせます。
車エビが食べたい
ここまでで、車エビ・ブラックタイガー・バナメイエビの違いや、天ぷらでの食べ比べ、殻ごと食べたときに摂れる栄養(キチン・カルシウム・アスタキサンチン)を見てきました。
いろいろ比べてみても、やっぱり「味・見た目・食感」のバランスで一番ぜいたくなのは車エビです。
熊本県・上天草産の車エビがおすすめ
なかでもおすすめなのが、熊本県・上天草産の車エビです。
活きた状態で締めてからすぐに冷凍しているので、鮮度は抜群です。自宅では、たとえば次のような楽しみ方ができます。
- さっと茹でてそのまま
- お刺身
- 天ぷら
どれも、車エビ好きにはたまらない贅沢です。
産地直送の活き車エビを買うなら
期間限定にはなりますが、産地直送の活き車エビが買える通販サイトもあります。「とにかく新鮮な車エビを食べてみたい」という方は、ぜひチェックしてみてください。
▶ 産地直送・活き車エビ
結局。使い分けが最強
バナメイエビがおすすめな人
- とにかく価格を抑えたい
- 炒め物やエビマヨ、すり身、殻ごと揚げなど、普段使いがメイン
- やわらかめの食感が好き
ブラックタイガーがおすすめな人
- エビフライや天ぷらなど、エビを主役にした料理が多い
- 見た目のボリュームやプリッとした食感を重視したい
- 多少値段が上がっても、料理映えを優先したい
エビは旨い!
- 毎日の料理で「量と価格のバランス」を考えるなら、バナメイエビがよりお買い得
- 見た目と食感を重視した「主役級の一皿」なら、多少高くてもブラックタイガーも十分コスパ良し
シーンに合わせてバナメイエビとブラックタイガーを使い分けつつ、ここぞという日は車エビで贅沢を楽しむ。そんなエビの選び方が、いちばん満足度の高い「お買い得」になるはずです。

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