
「イカ料理が好きだけど、もっと肉厚で食べごたえのあるイカを家でも楽しみたい」という方にぴったりなのがソデイカです。
まずは手軽に試してみたい方は、下処理済みで届く冷凍イカが便利です。
ソデイカとは、食用で流通するイカのなかでも最大級の大きさのイカです。
主には沖縄など温暖な海域に生息するイカで、標準和名は「ソデイカ」。
地域や市場では「タルイカ」「アカイカ」と呼ばれることも多いです。
(※ここで言うアカイカは通称で、別に「アカイカ」という名前のイカもいます)
驚異の成長スピード!
でかいイカといえばソデイカ。
ソデイカの特徴といえば、なんと言ってもその大きさです。
寿命は他のイカと同じく約1年ほどと言われているのに、体長1m・20キロクラスにまで成長します。
短期間でここまで大きくなるなんて、ちょっと驚きですよね。
そのため、まだ小さいサイズのものはなるべく獲らず、
ある程度大きくなってから漁獲されることが多いイカです。
ソデイカの生態・特徴
ソデイカは、世界の温帯〜熱帯の海域に広く生息する大型のイカです。
主な生息水深は0〜200mほどですが、条件によっては500〜800mくらいの深海層まで入ることも報告されています。
昼間は深い場所に潜り、夜になるとエサを求めて表層近くまで上がってくる「日周垂直移動」という行動をします。
ヒレが胴全体に渡ってついており、広げると菱形になるのも大きな特徴。
ここから Diamond squid(ダイヤモンドスクイッド)という英名がついています。
和名のソデイカも、袖(そで)を広げているように見える姿に由来します。
体はとても鮮やかな赤色をしているため、「アカイカ」と呼ばれることもあります。
ゼラチン質の卵塊らんかい

ソデイカの卵塊はとても特徴的で、ゼラチン質に包まれた大きな塊として産み出されます。
ダイビング中などに、この巨大な卵塊に遭遇することもあります。
一つの卵塊には、最大で7万6,000個もの卵が入っていると言われています。
見た目は大きな寒天のようで、初めて見るとクラゲと見間違える人もいるほどです。
出典:(c) Lukas Schärer ソデイカ from Livorno, Toscana, Italy
ソデイカの稚仔ちし
卵から5〜10日ほどで孵化し、まだ小さな稚仔(ちし)イカとして海中を泳ぎはじめます。
その後、外洋の幅広い海域に分散していき、潮の流れに乗りながら成長していきます。
エサは、自分より小さい魚や、同じイカ類などの「マイクロネクトン」と呼ばれる小型の生き物たち。
短い寿命の中で一気に巨大サイズまで育つため、非常に活発にエサを食べて成長していくイカと言えます。
出典:(c) Lukas Schärer ソデイカ from Livorno, Toscana, Italy
ソデイカ(アカイカ・タルイカ)の旬
ソデイカには「この時期だけが絶対の旬」という明確な定義はありませんが、
一般的には漁獲が多くなる晩秋(11月頃)〜春(4〜6月頃)が旬とされています。
とはいえ、ソデイカは他のイカのように、そのままの姿で魚売り場に並ぶことはまずありません。
大きくて身も分厚いため、
漁獲後すぐに短冊形や板状に切り分けられ、冷凍品として通年流通するのが基本です。
そのため、家庭で食べる分には「旬の時期を気にするより、良い冷凍品を選ぶ」ことのほうが大切です。
冷凍ロールイカ
ソデイカは、その巨大さゆえに“一杯丸ごと”の姿で見かけることはめったにありません。
多くは皮をむき、胴の部分を板状や筒状に整えてから冷凍された「ロールイカ」や、
短冊・輪切りにカットされた冷凍イカとして流通しています。
スーパーや業務用の冷凍コーナーで見かける「ロールイカ」「アカイカ」「肉厚イカ」などの表記の商品の中には、このソデイカが使われているものも多いです。
中華料理店や居酒屋、回転寿司、スーパーのお惣菜などでも、ソデイカやその仲間が“イカ”として活躍しています。
ここで一度、実際に家庭で使いやすい冷凍イカもチェックしておくとイメージがつきやすいです。
パッケージに「加熱用」と書かれているものが多いので、
刺身で食べたい場合は「刺身用」「生食用」と明記されたものを選ぶようにしてください。
ソデイカおすすめの調理方法
ソデイカの魅力は、なんと言ってもその“ぶ厚い身”。
数センチはある厚みのおかげで、他のイカではできないダイナミックなメニューが楽しめます。
- イカステーキ
- ソテー(バター焼き・ガーリックソテー)
- 唐揚げ・フライ
- 煮物・炒め物
- パスタや中華炒めの具
など、「火を通すイカ料理全般」との相性がとても良いイカです。
ただし、そのままだとどうしても噛みごたえが強くなりがちなので、
- 格子状の隠し包丁(鹿の子切り)を入れる
- そぎ切りや薄切りにする
- 火を通し過ぎない(サッと加熱する)
といったひと手間を加えることで、ぐっと食べやすくなります。
冷凍することで美味くなるイカ
「冷凍すると味が落ちそう…」というイメージがあるかもしれませんが、
ソデイカに関しては、むしろ一度冷凍したほうが美味しくなると言われています。
ソデイカは新鮮なものをそのまま厚切りで食べようとすると、ゴムっぽく硬く、大味に感じられることがあります。
しかし、いったん冷凍することで筋繊維がほどよく壊れ、
解凍後は柔らかく、ねっとりとした食感と甘みが引き立ちます。
美味しい刺身にするポイントは、
- なるべく薄めにそぎ切りにする
- 表面に鹿の子状に細かく隠し包丁を入れる
- 表面を軽く炙って「炙り刺し」にする
といった工夫です。
イカは身の内部層に甘みが一番強くあると言われるので、その部分が舌に触れやすくなるようにカットするのがコツです。
スーパーで「刺身用」として売られているソデイカやロールイカを使えば、
家でも十分に美味しいソデイカの刺身を楽しめます。
回転寿司やスーパーのイカとしてもお馴染み
実はソデイカは、回転寿司の「イカ」ネタとしてもよく使われているイカです。
甘くてねっとりした舌ざわりのイカを食べたことがあれば、それはソデイカだったかもしれません。
スーパーのお寿司や、イカフライ、イカ天などの加工食品にも、
スルメイカだけでなくソデイカやその仲間のアカイカ類が使われていることが多いです。
「身が分厚いのに、火を通しても固くなりにくい」という点が、プロの現場でも重宝されている理由です。
分厚い身を豪快に!「ソデイカのステーキ」
ソデイカならではの楽しみ方が、分厚い身をどーんと焼き上げる「ソデイカステーキ」です。
他のイカだと身が薄く、火を通すと丸まってしまって“ステーキ感”が出しにくいのですが、
ソデイカは肉のような厚みがあるので、しっかりメイン料理として成立します。
- ロールイカを開いてシート状にする
- 表面に細かく隠し包丁を入れる
- オリーブオイルやバター、にんにくでソテー
- 仕上げにバター醤油やレモン、バルサミコソースなどをかける
このように焼き上げると、まさに「イカのお肉」。
外は香ばしく、中はやわらかくジューシーに仕上げるのがポイントです。
ゲソはバターで!「ソデイカのゲソバター炒め」

ソデイカのゲソ(足の部分)は、胴体よりもややしっかりとした歯ごたえがありますが、
そのぶん旨みも強く、シンプルな料理で真価を発揮します。
まずは軽く茹でてから一口大に切り、バターと醤油、にんにくで炒めるだけで、
ご飯もお酒も止まらなくなる「イカゲソバター炒め」の完成です。
お好みで玉ねぎやきのこ、ピーマンなどを一緒に炒めると、
ボリュームおかずとしても立派な一品になります。
茹でたゲソは、ポン酢や酢味噌で和えてさっぱり食べるのもおすすめです。
巨大イカ「ソデイカ」を家でも
バターの香り、醤油の香ばしさ、ソデイカの濃い旨みが合わさると、本当に箸が止まらなくなります。
ソデイカは、刺身・ステーキ・フライ・煮物・炒め物など、普通のイカでは物足りない「食べごたえ」「ボリューム感」を楽しみたい方にぴったりのイカです。
スーパーで「ロールイカ」や「アカイカ」と書かれた冷凍品を見かけたら、
それはソデイカかもしれません。
ぜひ一度、巨大イカならではの食感と、冷凍で旨みが増した独特のおいしさを試してみてください。

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