天ぷらとは
日本の天ぷらの第一人者の近藤文夫さんの言葉です。『天ぷらとは蒸し料理である』
近藤文夫(こんどう ふみお)/東京・銀座「天ぷら近藤」店主。東京生まれ。高校卒業後、「山の上ホテル」に入り和食・天ぷら部門に配属。23歳で「てんぷらと和食山の上」の料理長に抜擢、以後21年務める。1991年に独立し「天ぷら近藤」を開店。薄衣で揚げる手法や野菜天ぷらなど、斬新な発想で独自の天ぷらを提案する。天ぷらは油で揚げて作りますね。それはその通りです。でも「何料理ですか?」と聞かれたら、自信を持って「蒸し料理」と答えます。これが私の持論です。天ぷらは、衣という膜で素材を包み、熱い油の中で「素材の水分で蒸すように火を入れる」料理だからです。私の天ぷらは、まず薄力粉をまぶしその上に衣をつけてから油に入れるのが基本。これが「蒸し料理」にする為に必要なプロセスです。素材を薄力粉で覆うことで、衣との間にすき間ができるため、理想的な蒸し空間になるのです。
もう一つ天ぷらを「蒸し料理」として完成させるのに必要なのが「余熱調理」です。油から取り出した時はまだ完成ではありません。紙にのせ油をきる1~2分の間で蒸らします。これが最終の火入れで完成形です。油でレアに揚げ余熱の蒸らしでミディアムレアに仕上げるイメージです。
この余熱調理が前提なら、完全に火が入る一歩手前で油から引き上げるので素材の水分を良いバランスで残すことができます。揚げてなおみずみずしく香りの高く素材の持ち味も存分に味わえる天ぷらになるというわけです。是非みなさんも切って観察してみてください。切り口から湯気がふんわりと上がり、断面が水分で潤っていればキチンと蒸された証。水分の多い素材ならしたたり落ちるのがわかるでしょう。これまでの天ぷらとはまるで違う仕上がりになりますよ。
天ぷらに必要な調理器具
- 天ぷら鍋/温度計or(フライヤー/デジタル温度計)
- 揚げ玉入れ(カス揚げ)
- ボール(天粉用)
- ホイッパー(天粉用)
- 揚げ物受けバット
- 天ぷらとき棒と天ぷら揚箸
天ぷら鍋の大きさは最低でも25㎝以上のモノを選ぶことをお勧めします。天ぷらを油の中で泳がせるためには油の高さが最低でも3㎝ほど必要になる。25㎝の鍋で800ml以上の油を注げるサイズを選ぼう。油の量が多ければ多いほど食材を投入した時に温度の変化起きずに安定しより多くの食材を投入できる。更に天ぷら鍋よりフライヤーの方が温度管理も容易です。たくさんの注文をこなす業態なら初期投資はかかりますが、フライヤーを使う事をお勧めします。
油と天ぷら粉
高級な老舗の天ぷら屋では揚げ油は生絞りの「太白ごま油」と炒って香ばしい香りをつけた「焙煎ごま油」などをブレンドして使う事を推奨しています。ごま油は熱酸化に強く香り旨味もあり揚げ物に向いてる油ですが、価格が高くコスト面ではお勧めできません。安価なキャノーラ油でも油の量や油の鮮度を保つことで十分美味しい天ぷらを揚げることはできます。ごま油の香りを立たせたい場合は少量を加えてみてください。
天ぷら粉は結論:日本の大手企業が発売している天ぷら粉が良いです。個人的な意見になりますが、小麦粉に卵黄やソーダ水など工夫を凝らした天ぷら粉を自作するよりも、水と天ぷら専用の粉でつくる天粉の方がブレずに安定した天ぷらを作ることが出来ます。ポイントは少量ずつ天粉を作り常に合わせたばかりの状態で天ぷらを揚げるとサクサクで「花の咲いた天ぷら」が出来ます。
日本には四季があり季節ごとに旬の食材を味わえる天ぷらは季節感を感じる楽しみがあり、多くのファンもいらっしゃいます。天ぷらの調理技術は世界各国の魚介類・肉類・野菜をの食材を調理するオールマイティーな技術です。日本のカジュアルな天ぷら技術の質問あれば、お問い合わせフォームに質問をお願します。
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